第1章

7/26

15人が本棚に入れています
本棚に追加
/26ページ
雑色(ぞうしき)が鞍をつけて試し乗りをしてみると。 鞍を付けた馬が怯えるのが、 そもそもおかしかった。 なんとか宥めて馬を走らせてみる。 すると。 いつのまにか後ろに人が乗っている。 自分の腰をひやひやとした腕で抱いてくる。 わあっとばかりに叫んでも、 馬は止まらぬし鞍からも降りられず。 そのまま藪に突っ込むまで走り続けた。 叱責された雑色が唇の色を無くして、 後ろに人が、 と言うたが周りの者には何も見えぬ。 ばかなと試した別の者も、 馬が倒れるまで走りつづけてから顔を青くして降りてきた。 こんな鞍は捨てたがいいと言うのに、 話を聞いた親王が物好きにもわざわざ持ってこさせた。
/26ページ

最初のコメントを投稿しよう!

15人が本棚に入れています
本棚に追加