15人が本棚に入れています
本棚に追加
/26ページ
雑色(ぞうしき)が鞍をつけて試し乗りをしてみると。
鞍を付けた馬が怯えるのが、
そもそもおかしかった。
なんとか宥めて馬を走らせてみる。
すると。
いつのまにか後ろに人が乗っている。
自分の腰をひやひやとした腕で抱いてくる。
わあっとばかりに叫んでも、
馬は止まらぬし鞍からも降りられず。
そのまま藪に突っ込むまで走り続けた。
叱責された雑色が唇の色を無くして、
後ろに人が、
と言うたが周りの者には何も見えぬ。
ばかなと試した別の者も、
馬が倒れるまで走りつづけてから顔を青くして降りてきた。
こんな鞍は捨てたがいいと言うのに、
話を聞いた親王が物好きにもわざわざ持ってこさせた。
最初のコメントを投稿しよう!