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「うしッ! 乗り込むとしますか」
入試は学園都市のほど近くに設けられた、民間施設で行われた。だから俺がこの城に足を踏み入れるのは、今日が初めてだったりする。
少し……いや、かなりビビってる感は否めないが、それは俺がヘタレって訳じゃない。この門構えを見たら、俺みたいな庶民なんて全員ビビるに決まってる。
(つか何だよ、この彫刻は。入り口にンなモン要らなくね? でも、この女……胸でけえ)
そびえるようにして鎮座する彫刻は、ギリシャ彫刻の女神像を模しているようだ。
豊満としか表現できない彼女の胸に目がいってしまうのは……俺だって健康的な男なんだ、目を瞑って欲しい。
門をくぐりまえを進んでゆくと、一気に学園内の全容が明らかになった。まるでひとつの街にでもいるような、何とも言えない不可思議な都市内部。
ゲートはすべて石畳で舗装されていて、建物はすべて石や煉瓦、大理石なんかで建造されている。俺の凡人的思考力を駆使して表現するならば……そうだ、中世ヨーロッパって感じだ。
(俺……こんなお上品なトコで四年間も……やってけるかな)
道行くやつらはみな、明らかに上から下までハイブランドや、テーラーメイドで着飾っているって感じだ。どうやら俺は……ガチで場違いかも知れない。
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