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◇
「お邪魔しまーす」
「おう。遠慮は要らねえから、好きにくつろいでろ」
学園都市駅から、電車で揺られるコト二駅。
大廈高楼と建ち並ぶ、ハイクラス・ビルディングタウン。そのなかでもひと際背の高いタワーマンションが、和哉の兄貴が住むマンションだ。
三十九階にある、兄貴の部屋へとやって来た俺は、リビングのソファに腰を下ろした。
(それにしても無駄にひろい部屋だな。あいつの兄貴って、そんな儲けてんのか?)
きょろきょろと辺りを見渡して、そんなコトを邪推する。男のひとり暮らしにしちゃ、やけに小奇麗な部屋だ。パティシエってぐらいだから、やっぱり几帳面なんだろうか。
つらつらと下らないコトを考えていると、和哉がトレーを手にリビングへと現れた。
「ほら、好きなだけ食えよ」
そう言って、和哉がトレーをテーブルに置く。それをロックオンした俺の目は、きっとハートが浮かんでいたいたに違いない。
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