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「おまえ、俺のコト避けてたよな。ならどうして、今更俺に声なんてかけてんだよ」
そうだ、きっちりと訳を話して貰うぞ。当然それ相応の理由が……ねえとは言わせんぞ。
「まあ過ぎた事だ、蒸し返したりしてんなよ。男らしくねえぞ」
「はあ!? ちょ、おま……なに勝手なコトばっか言いやが――」
「それよか深雪、おまえ今日は何か予定ってあるか」
まただよ。こいつはいつもそうなんだ、自分に分が悪くなると、直ぐにすっ呆けて話を逸らしてしまう。
伊達に俺だって、こいつの親友をやって来たわけじゃないんだ。和哉が喋んねえってコトは、俺が諦めるしかねえってコトだ。
空を仰ぎ見た俺は、ひとつ大きなため息をつくと、和哉に向き直って口をひらいた。
「いや、ンなモンねえよ。今日は俺、自分が通う大学の偵察に来ただけだし」
「なら丁度いいな。今から俺につき合え」
なに勝手なコトを言ってるんだ。あまりの暴君ぶりに対し、俺は激しい憤りを覚えた。
こいつに従う義理なんて俺にはねえだろと、心でつっ込んではみたけれど……訳ぐらいは訊いてやるか。
「ああ? 何で俺が、おまえにつき合わなきゃなんねえの」
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