第6章  イエロー

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結果、私は、溜息が出るほどストレスを抱える「仕事」に逃げた。 そして彼も、そんな私を追っては来なかった。 それから、気付けば七年。その間、私は「恋」とは無縁だった。 だが、それに寂しさも願望も何も抱かなかった。 むしろ、色々な意味で独りに戻れた平穏を喜んでさえいたはずだ。 だが今わたしは、こうして田村という男の腰にしがみ付いている。 しかも彼とは、時々こんな風にデートのようなこともしている。 つまり私は、今やはり彼に恋をしようとしているのだろうか――? しかし、この答えを探り出す前に 私は、にわかに油断ならざる立場に追い込まれた。
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