第6章  イエロー

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いつ、行くつもりだろう。 昔の同期を見送った、先週。 その帰り道で、田村が言った言葉。 今度、本当にツーリングに行こう。 その時は、今日の分も彼女の思い出話をいっぱいしよう。 そして実は、私は、その週末に多少の期待を抱いていた。 だが週末を迎えても尚、彼からの連絡はなく、 だからといって自分から連絡をするのも催促のようで憚られた。 しかしその結果、私の中で、多少なりとも落胆がなかったとは言えない。 そして今、スランプだ。 だからって、それが田村さんと会えなかったことと一緒にするって、どうよ? 私はコーヒーの入った缶の蓋を閉め、それを抱えたままで自分に問いかける。 だがその一方で、別の自分が問いかける。 私、そんなに田村さんのこと好きになった?
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