36人が本棚に入れています
本棚に追加
確かに、思いがけない再会から、私達の距離は徐々に縮まったと思う。
連絡だって、ただの知り合いよりは密に交わしているとも思う。
だがそこに、本当に色恋の艶やかさはあるのだろうか。
誕生日に、花束はもらったけど。
だが、添えられたカードに告白の言葉があったわけでもない。
この前のお通夜の帰りに、手を握って慰めてもらったけど。
しかし、それだって友達の範疇を超えた行為というわけでもなかろう。
そして、別の自分が再び尋ねる。
私たちって、何?
だが、その答えが出る前に、別の自分はやっぱりこう言った。
っていうか、私、やっぱり彼が好きになった?
しかし、こんな悶々とする私の思考を蹴破って、
背後でヤカンが甲高い笛を鳴らし始めた。
最初のコメントを投稿しよう!