第6章  イエロー

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確かに、思いがけない再会から、私達の距離は徐々に縮まったと思う。 連絡だって、ただの知り合いよりは密に交わしているとも思う。 だがそこに、本当に色恋の艶やかさはあるのだろうか。 誕生日に、花束はもらったけど。 だが、添えられたカードに告白の言葉があったわけでもない。 この前のお通夜の帰りに、手を握って慰めてもらったけど。 しかし、それだって友達の範疇を超えた行為というわけでもなかろう。 そして、別の自分が再び尋ねる。 私たちって、何? だが、その答えが出る前に、別の自分はやっぱりこう言った。 っていうか、私、やっぱり彼が好きになった? しかし、こんな悶々とする私の思考を蹴破って、 背後でヤカンが甲高い笛を鳴らし始めた。
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