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その昔、「都合のいい女」という言葉があったと思う。
しかし、「都合のいい男」という存在はあるのだろうか。
いや。実際、私が今、背中から抱きかかえるようにしてしがみついている
この男は、どう見ても私にとって「都合のいい男」だろう。
そして私は、やっぱりそれを利用している嫌な女じゃなかろうか。
スランプに陥ってから一週間あまりした、夕方。
そろそろ夕飯の支度でもしようかと思っていたところに、掛かってきた電話。
それは、待っていたはずの田村からのツーリングの誘いだった。
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