第6章  イエロー

5/37
前へ
/38ページ
次へ
その昔、「都合のいい女」という言葉があったと思う。 しかし、「都合のいい男」という存在はあるのだろうか。 いや。実際、私が今、背中から抱きかかえるようにしてしがみついている この男は、どう見ても私にとって「都合のいい男」だろう。 そして私は、やっぱりそれを利用している嫌な女じゃなかろうか。 スランプに陥ってから一週間あまりした、夕方。 そろそろ夕飯の支度でもしようかと思っていたところに、掛かってきた電話。 それは、待っていたはずの田村からのツーリングの誘いだった。
/38ページ

最初のコメントを投稿しよう!

36人が本棚に入れています
本棚に追加