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「俺の腰に捉まって、左右のバランスは俺の体に合わせるように
自然にしてればいいから。
ただ、膝だけは俺から離さないように、しっかりくっ付けててね」
乗る時に、銀色のヘルメットを渡されながら、にこやかに説明された。
それでも最初は、慣れないバイクという乗り物に多少戸惑った。
しかし彼も、そんな私を気遣いながら走ってくれているのだろう。
徐々に、その乗り心地にも慣れて来ると、
この穏やかで美しい初秋の景色を彼の背後で楽しみながら、
時折、ぼんやりとこの前の自分の思考を頭の中に巡らせ始める。
私、本当に彼の事が好きになっているのかな?
もちろん嫌いなわけではないし、時折、会いたいと思う存在には違いない。
だが、こうして時々二人で会うようになった今でも、
四六時中、彼のことで頭がいっぱいになることはない。
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