第6章  イエロー

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じゃあ、彼と会う時、ドキドキする? 確かに先週、彼から連絡がなかった時は多少ヤキモキ、チクチクしてはいた。 だが、それでも彼と会う時に感じるものは、 浮き立つような「トキメキ」とは少し違う気がする。 むしろ、空気のような穏やかさ。 それが、彼と会う時に感じるもの。 そう思った時、ふと彼は私と会うのをどう感じているのだろうと思い至った。 そういえば、あの頃、彼は私を本当に好きだったんだろうか。 しかし、私の記憶の中に、 19年前の彼から「好き」という言葉を聞いた憶えは、まったくない。 じゃあ、私自身はどうだったんだろう?
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