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 歩き出してから三十分足らずでセレナが根を上げやがった。  足痛いよー歩けないーおんぶーと駄々をこねるポンコツ女神に軽く怒りを覚えながらも足を運んでゆく。  すると、遠目ながらも王国と思わしき城壁が見えてきた。  しかし、あともう少しという所で思わぬアクシデントが発生してしまう。 「げえ!?何でこんな所にブラックオーガがいるんですかぁ!!」 「オオ……人間、ウマソウダ」  簡単に言えば、魔物とやらに遭遇した。  三メートルを超える巨躯、黒い肌に赤い瞳、頭部に生えた一本角に二対の牙。  日本で例えるならばその魔物は鬼を連想させる。  これが魔物か。本当にいるんだなこんな化物。 「で、あれはどれくらい強いんだ?」 「何でそんな冷静なんですかぁ!?オーガの亜種であるブラックオーガですよぉ。上級の魔物で、本来こんな王国付近に居ていい魔物じゃないんですぅ!」 「へえ」  慌てふためくセレナ。そんなに強そうには思えないんだが。 「まさか、もう魔王軍が攻めてきたとか……」 「いや、見たところこいつ一匹しかいないぞ。はぐれたんじゃねえか」 「ヒマダッタ、オレ、アバレニキタ」  ああ、そう。 「なあ、魔物って喋れんの?」  ふと疑問に思った事を尋ねてみる。
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