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「よっと」 「ふぇ!?ど、どうしたんですか平太さん!」  俺はへたり込むセレナの腰を抱き持ち上げる。顔を真っ赤に染め、ジタバタする彼女を落ち着かせた。 「どどどどうしたんですか平太さん、まさか死ぬ前に私のワガママボディにエッチなプレイをしてやろうなんて邪まな事考えてないですよね!?」 「口閉じてないと舌噛むぞ」 「え」  城壁を見上げる。  高さはざっと三十メートルってところか、まあ余裕だな。  俺は両足に膂力を溜め、一気に地面を蹴り上げ--跳ぶ。 「いやああああああああああ!飛んでますうううううう!!」  絶叫するセレナを抱えたまま城壁を飛び越えた俺は、上空からベルン王国の街並みを一望する。  手前から簡素な建物が連なる貧民街、金持ちが住んでいそうな屋敷がある貴族街、その奥には王宮と思わしき荘厳な建築物。  おお、まさに異世界の風景だなと感慨に耽った俺は、人がいない場所辺りに着地した。抱えていたセレナを静かに下すと、彼女は手で口を抑え、 「も、もう急に飛ばないで下さいよぉ。気持ち悪くなるじゃないでおえええええええええええええええええ」  女神がゲロっている姿はやばいな、絵図らが。 「というか!これって不法入国じゃないですかぁ」 「他に手は無かったんだから仕方ないだろ」  それとも、あの場で雑草でも食ってろって言うのか。  俺は草食系を自負しているが、決して草食動物じゃないぞ。 「んで、手っ取り早く金を稼ぐ方法ってないのか?」 「やっぱり冒険者ですかねぇ。依頼を受けて魔物を倒せばいいだけですから、脳筋の平太さんには打って付けの職業です!」  このクソ女神ケンカ売ってないだろうな、その乳揉んでやろうか。  それにしても冒険者か、流石異世界って感じだな。 「んで、冒険者にはどうやってなるんだ?」 「ギルドっていう場所で登録出来るので、早速行きましょう。私の体力が尽きる前に」  ああ、そうだな。  俺も女神を引きずりながら街中を歩くのはゴメンだよ。
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