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「それにしても、まさか俺様が一瞬でやられるとはな。ヘイタは一体何者なんだ?」 「そうだよ、気付いたら先生が壁に埋まってんだぜ!」 「いや、ただ単に人より力があるってだけだよ」 「そうですぅ、平太さんは脳筋なんですうぅ」  お前が言うな、お前が。  リスのように頬を膨らませるほど食べ物をかっこんでいるセレナを、ジャッカル先生と弟子達が怪訝そうな目で見ていた。 「思ったんですけどヘイタさん、セレナさんって何者なんですか?」  不意に問いかけてきたミドリにセレナはよくぞ聞いてくれました!と言わんばかりに大きな胸を張って答えようとする。 「ふっふっふ、よくぞ聞いてくれました!私こそは、この世界の女がふがふがッ!?」  正体を明かそうとするセレナの口にパンを突っ込んで黙らせる。  ギリギリセーフ、ナイスだ俺。 (何するんですかぁ!?)  セレナが目線で訴えてくるので、俺も目で返事をした。 (これまでの言動や振る舞いを振り返ってみろ、お前が女神なんて誰が信じる。痛い子なんだって同情されるのが目に見えてんだよ) (うぐ!!)  こんなアホ丸出しの女が、私は女神だと言っても信じる者なんて一人もいない、笑われるのがオチだろう。  逆に信じてもらったらもらったらで、こんなポンコツが女神だなんてジャッカル先生達が可哀想すぎる。  ここは口を閉じておくのが両者の幸せになるはずだ。
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