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◇
夜、ジャッカル先生に取ってもらった部屋のベッドに、俺とセレナは少し間を空けて腰掛けていた。
「最初はどうなるかと思ったが、俺達はツいてるな」
「女神の私がついているんですから、当たり前の結果ですよ」
「抜かせ」
たらふく食って元気になったからか、よく口が回るセレナ。
お前のせいでどれだけ面倒な事が起こったのか覚えていないのか。
「ジャッカルさん達、良い人達ですね」
「……そうだな」
しみじみと頷く。
出会いは酷いもんだったが、冒険者登録から宿代まで、何から何まで世話になった。異世界に来て散々だったが、最後に人から親切を受けて心が救われた気がする。
なにか俺に出来る事があったら、小さな事でもいいから受けた恩は返そう。
「しんみりしちまったな。疲れたし、俺はもう寝る、おやすみ」
「……?」
当たり前のようにベットに横になる俺に、セレナは「は?」という表情をする。彼女は慌てて口を開いた。
「いやいやいや、平太さん何さらっと平気な顔して寝てるんですか!?」
「いや、俺ベッドじゃないと快眠出来ないし」
ごめんな、だから床で寝てくれ。
「鬼畜ですか!?私だって柔らかベッドで寝たいですぅ。あっ、まさか誘ってるんですか~?平太さんのス・ケ・ベ・さ・ん!」
「くー」
「ちょ、ちょっと無視しないで下さいよぉ」
もう仕方ないですねぇ、とブツブツ文句を言いながらもセレナがベッドに潜り込んでくる。
おい待て、なんで入ってくるんだよ。ベッド小さくて狭いんだぞ。
(こいつ……誘ってねえだろうな)
せめて背中合わせで寝ればいいのに、わざわざ俺の方に向いて寝てやがる。そのせいで、薄着一枚を挟んだセレナの柔いおっぱいが背中に押し当てられていた。
破壊力が想像以上で、童貞の俺には辛いものがある。
「あれ、平太さん……ドキドキしてませんか?」
「ッ!?」
セレナの小声が俺の耳をくすぐる。心無しか、その声色は艶やかさが含まれている気がした。これ以上はやばい、色んな意味で俺がもたない。
「いいから、早く寝ろ」
「ふふ、そうですね、寝ましょうか」
くそ、勝ち誇ったように笑いやがって。覚えておけよ女神め。
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