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「アンフィスバエナ……上級の魔物がこんな所まで来ているのか。魔王軍が動き出しているっていう噂は、あながち間違ってねえのかもな」
彼の視線の先には、巨大な双頭の蛇がいた。蛇なのに前足と翼が生えているのは何故だろう。まあいいか、気にしたら負けだ。
先程の豚とはレベルが違いそうだ。現に弟子達が顔を青ざめさせ、体を震わしている。そんなに強いのか、あの蛇。
「お前ら、早く下がってろ!」
「「は、はい!」」
ジャッカル先生が一喝すると、弟子達は慌てて距離を取った。賢明な判断だ、蛇の力量は知らんが三人の実力じゃ丸呑みにされて終わりだろう。
「平太さああああん!頑張って下さあああい!」
遠くからセレナが声援を送ってくる。いつの間にそんな所にいたんだお前、逃げ足早すぎんだろ。
「手伝おうか?」
「弟子達が見てるからな。俺様一人でやってみるさ」
冷や汗を流しながらも強気な発言。師匠だから、弟子の前では意地を張りたいんだよな。
「分かった、危ないと思ったら手を貸すからな」
「ああ、そん時は頼むぜ」
男らしく頷く。そういう所カッコ良いよな。昨日の姿が嘘のようだ。
背中から大剣を抜き放ち、蛇に向かって行ったジャッカル先生を見送ると、俺はセレナや弟子達がいる所へと足を運んだ。
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