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平太とアシェリーが船長室で今後の方針を練っている間、セレナ、システィス、カタリナ、ポチ、スラ太郎は船のデッキで、流れ行く大海の眺めを満喫していた。
「ポチースラ太郎ー見て下さい、海ですよ海ぃ! 凄くないですかぁ!」
「ブルッ」
「ぽよ」
特にセレナは海を目にしたのが初めてなのか、誰よりもはしゃぎまわりポチやスラ太郎に絡んでいる。
そんな女神達を見守りながら、システィスは隣に佇むカタリナに尋ねた。
「ヘイタさんと学園長……何を話してるのかな」
「さあね、学園長はアイツを知ってるみたいだったけど……。って事はやっぱり……」
「ヘイタさんは、魔王を倒した勇者に間違いないって事だよね」
「"アレ"がねぇ……」
カタリナは冴えない少年の顔を思い浮かべながら呟く。
見た目や性格を考えてみれば、平太が選ばれた勇者なんて未だに信じられない。
彼女達が抱く理想の勇者像とは、聖剣を携え、白銀の甲冑を纏った美男子なのだ。
それが蓋を開けてみたら、魔法学校の同級生のモブ男と何ら変わらないではないか。
妄想の勇者像を平太に押し付けるのも失礼だが、乙女の夢が儚く散った彼女達の心境も分かるといえば分かる。
そんな感じで二人が落胆してると、セレナが近寄ってきた。
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