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「言っとくけどお前等、俺が手を止めなかったら死んでいたんだからな」
「……」
「ぐっ……ちょっとアンタ、何がしたいのよ。人に魔法を使えって言っておいて、突然こんな」
「俺が反撃しないっていつ言ったよ」
「なっ! あ、アンタねぇ!!」
怒んなって。幾らお前がキレたって少しも恐くねぇから。
「何故俺がこんな真似をしたのかっていうと、これが戦場だったらお前等は確実に死んでるってことよ。言ったよな、俺をぶっ殺す気でやれって。それと、お前等の魔法には無駄が多過ぎるって事を言いたかった」
「無駄……ですか?」
ああ、と頷き、ピンときてない二人に説明してやる。
「お前等の魔法は、手を上げる→詠唱する→頭上に出現する→手を下ろすと同時に魔法を放つ、だ。無駄な工程が多過ぎる。
それに対し俺がしたのは、接近しながら得物を出現する→突きつける、たったこれだけだ」
面倒な手順を踏まず、実にシンプル。けどこいつ等はそれが出来ない。
いや、考えた事も無かった筈だ。
カタリナは言い訳がましく、唇を尖らせて反論してきた。
「そんな事言われたって、魔法を発動する為にはこうするしかないのよ。それに学園ではこのやり方でも充分通用するわ」
ほらな、やっぱり。その考えが駄目なんだよなぁ、甘い甘い。
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