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「楽しいといえば楽しいですよ」 「へー、カタリナさん達からの報告ですと、自己紹介で盛大にスベッていたと聞きましたけど」  ……バレとるがな。あいつ等、俺の黒歴史を無断で広めやがって。 「平太さんはアホですねぇ」  うるさい、お前にだけは言われたくないわ。 「あいつ等が色々とカバーしてくれるから何とかなってます。それと、学園長さんの推薦っていう効果がかなり効いてますね。お陰で初日からイジメられる事も無かったです」  本当助かったわ。シカトされても仕方ない程やらかしたからな。 「それは良かったわ」 「まぁ、魔法学とか薬学とかはちんぷんかんぷんですけど」 「講義の方は聞き流していいわよ。貴方はシスティスの近くにいてくれればいいから」 「分かってますって、任せて下さいよ。それより敵さんの動きが段々露骨になってきてて、一々相手をするのが面倒なんですけど。そろそろ大元をぶった切りません? 学園長さんは知ってるんですよね、あいつを狙うやつ等の正体を」 「…………」 「黙ってるのは肯定してるようなもんですよ」 「…………」 「知っていても手が出せない相手ですか。うわっダル」  この人はシスティスを大切にしている。彼女の為なら、どんな手を尽くす事も厭わないだろう。  アトラティウスには仕事で来ているってシスティスに言ったらしいが、恐らく心配して来たんだと思うし。  そんな彼女が、自ら行動せず守りに入らざるを得ない相手。  元大貴族、魔法学園の学園長、世界に四人しかいない特級冒険者。そんな大層な肩書きを持つ彼女が手を出せない相手なんて限られてる。  俺は重いため息を吐きながら、こう言った。 「先に言っておきますけど、俺はずっといる訳じゃないですよ」 「分かっているわ。ただ、ここにいる間はあの子を守って頂戴」 「……はぁ、了解です。んじゃ俺はもう行くんで。セレナ、あまり迷惑かけないようにしっかりやれよ」 「代わって下さいよ平太さぁん。メイドの仕事って結構大変なんですよぉ」  馬鹿野郎、俺にそのメイド服を着ろっていうのか。誰得なんだよ。
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