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そう言うと、システィスは力強く頷いた。
彼女の意思を確認した俺は「行ってこい」と華奢な背中を押す。
「アルフレッド君、お願い私と戦って」
「……いいだろう、そいつに何を吹き込まれたかは知らないが、身の程を教えてやる。いいですよね、クルス先生」
「え? う、うん、いいですよ。二人が合意なら全く問題ない、生徒が切磋琢磨してくれるのは嬉しいからね」
クルス先生の言葉を皮切りに、アルフレッド君とシスティスが対峙し、他の生徒達は自分の訓練を中断して集まってくる。
どうやら皆、二人の試合を観戦するようだ。
俺も少し離れた所で弟子の戦いを見守っていると、カタリナが近づいてくる。
「突然何でこんな事したのよ」
「対人戦として、システィスの実戦をするにはイケメン君が丁度良い相手だと思ったからな、利用させてもらった」
「鬼ね」
「何言ってんだ、お前もだぞ。システィスにも伝えたが、いつまでも甘ったれんなよ。死にものぐるいで強くなれ」
「……」
「お前がただの学生なら、俺も強くなれなんて無茶な事言わねーよ。でもお前は、システィスの"友達"だろ?」
「……」
黙っているカタリナに、俺は続けて、
「システィスはこれからも危険が迫り続ける。あいつと一緒に居るってことは、お前にも危険が降りかかるだろう。それが嫌ならあいつから離れればいい、それだけの話だ。でも、お前がシスティスと友達で居続けたいなら強くなれ。自分の身を守るのは勿論、あいつを守れるぐらいにな」
「……アンタに言われなくても、分かってるわよ。見てなさい、絶対アンタより強くなってやるから」
「ふっ」
俺は、唇を尖らせるカタリナの頭にそっと手を乗せて、
「楽しみにしてるぜ」
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