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(アルフレッド君との対戦なんて、いつ以来だろ)
アルフレッドと向かい合うシスティスは、緊張でゴクリと唾を飲み込む。
平太から代わりに戦って欲しいと突然の指示。
困惑したが、強くなる為だと了承した。が、勝てる自信は一切無かった。
何故ならシスティスは、幾度かアルフレッドと対戦しているが、全戦全敗なのだ。まだ一度も勝てた事がない。
だが、システィスは悲観してなかった。それは今日まで平太に厳しく鍛えられたからである。
戦い方を教わった今の自分なら、アルフレッドにも勝てる可能性はあった。
(違う、勝てるかもじゃない……勝つんだッ!)
弱気な心に叱咤する。
強くなった姿を、師匠に見せてやると、己を鼓舞した。
「今まで一度も勝てなかったお前が、僕に勝てると思っているのか」
「悪いけどアルフレッド君、今回は私が勝つよ」
「……何?」
堂々とした勝利宣告。
今までは異なる彼女の強気な態度に、アルフレッドは疑問を感じた。何か秘策でもあるのか、と。
が、そんな事を考えても詮無きこと。いつも通り力で捩伏せればいい。
二人が口を閉じ、戦闘態勢を取ったのを確認した審判役のクルスは、試合開始を合図した。
「双方、くれぐれも死に直結する攻撃は控えるように。私が危険だと感じたら止めますからね。では、試合開始!!」
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