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第一章 死体を拾う女子大生
僕がこの県立鷹月高校に入学して、まもなく半年になろうとしている。県内でも、進学校として割りと優秀な部類に含まれるこの高校に入学した時、母は
『あんたみたいに何にも興味を持たない子が、よく勉強が進んだもんだねぇ、頭の出来は私譲りだねぇ』
と、それなりに喜んでくれたが、母は良家のお嬢様だったこともあり、とびっきりのお嬢様学校である私立の星條学院高校をでていた。
一方、父は
『高校なんてどこでもいい、大学だって偏差値なんかより、自分のやりたいことがやれる大学を選べ』
と、さも進学校に入学したことが当然とばかりに将来のことばかりを言った。
「大学ってったって、何がやりたいかなんてわからないよ。別にやりたいことなんてないし、このまま行ける大学に行って、入れる会社に入るだけだよ」
と、自分の人生観を漏らしてみたが、
『自分の道は自分で見つけるもんだ。たくさん苦労して、苦労を糧に信念を築け』
と、埒が明かなかった。
それに両親には悪いけど、大学に入るために高校生活を犠牲に勉強するのも、なんだかひどくしんどい気がしていた。もっと省エネができるならそっちのほうが魅力的だ。と、言っても今の自分を雇ってくれる会社があるとも思えないのだが。そもそも、妹のピアノのレッスン料や、今後の音大への学費など考えれば、僕に使えるお金はあまりないはずだ。今は少なくとも、高校受験をがんばった見返りとしての、約束された3年間を満喫するだけだ。その権利が自分にはあると思う。
それにしても、今日は朝から雲行きがあやしい。そういえば、リビングのテレビに映っていた朝番組の天気予報コーナーでは、なにやら台風がこの中部地方に近づいているとのことだった。母から言われて一応傘を持ってきたが、昼までに降り出すだろうか。
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