ニュイブランシュ卿と景のハロウィン

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景はふぅと軽くため息をつくとニュイブランシュ卿にハロウィンについての説明を始めた。 「なるほど、人間界では10月31日に仮装して『イタズラする代わりにお菓子を要求』するんですか」 ニュイブランシュ卿は紙にメモをしながらそう呟く。間違えに気付いた景は訂正する。 「そうじゃない。『イタズラされるかお菓子をあげる』んだよ」 「でも説明の時はイタズラしてお菓子を奪うって言ってましたよ」 ニュイブランシュ卿は先ほどの景の説明を復唱した。 「あーそんな事言ったような言ってないような……」 景は恍けるようにそう答える。 「それで人間たちは私たちのような魔人や魔物の格好をしたり絵本に出てくるような人物の格好をしてどうするんですか」 ニュイブランシュ卿はお菓子を貰うだけのイベントじゃないですよねと言って景に尋ねる。 「俺が向こうにいた頃はそういった格好をして楽しむだけって感じだったな。とは言っても俺はやったことないけど」 景の顔に少し陰が掛かったのが分かった。どうやらあまり良い記憶ではないようだ。 「では、ちょっとやってみますか? 城になら道具はある程度揃ってますよ」 ニュイブランシュ卿は書類の束を纏めると筆をさして立ち上がった。 「別にそんなのやんなくて良いって!」 「私の前でその話題を出したのが失敗でしたね」 ニュイブランシュ卿は景の手を掴むと衣服が置いてある装飾室へと向かった。 「やめろぉぉぉぉ!!」 景の断末魔とともに……
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