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「ほら、開けてみろよ。きっと驚くぞ」
「なら私からのお菓子も食べてみたらどうですか?」
ニュイブランシュ卿と景はお互いの手元を見ながらニヤニヤとしている。
「早く開けろよ遅っせーな」
「そういう景こそ早く開けたらどうですか。あなたのとは違って中身も見えているので安全ですよ」
「安全ってなんだよ。俺からのプレゼントに何か細工でもしてあるとでも?」
「なら同時に開けてみよう。それで異議はないだろ」
ニュイブランシュ卿のその言葉に景は一呼吸置いてから首を縦に振った。
「「いっせーの! せっ!!」」
景からのプレゼント(お菓子)はそれはそれは美味しそうな黄色いカボチャとサツマイモのタルトの様なもの。
「…………。」
タルトを見ながら無言のニュイブランシュ卿。
そして、ニュイブランシュ卿からのプレゼント(お菓子)は……
「なんだこれ?」
景はクッキーのようなものを手に取るとそれを自らの口の中に放り込んだ。
「あれ、変な物かと思ったけど……」
そこにニュイブランシュ卿が付け加える。
「それはドーランが今朝ケルベロスに与えるはずだった新開発品です。後でドーランに感想を伝えてあげ――グフっ!!」
ニュイブランシュ卿が目を瞑ってそう満足げに答えていると景はニュイブランシュ卿の手元にあったカボチャとサツマイモのタルトを手に取ってニュイブランシュ卿の口に突っ込んだ。
「っ!!?」
「へっ、これでお互い様だ! ……うっ、なんだ体内の魔力の量が著しく減少し始めてるだと。まさかさっきのクッキーに……くそっ」
「……ハァハァ、全くこの私にカボチャとサツマイモを無理やり食べさせるとは母様以来です。渡されたものでなければ焼き払っていましたよ」
ニュイブランシュ卿はそう言うと近くにあった椅子に座って机に突っ伏してしまった。
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