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「あんたら、砂海のことはわかってるか?」
男たちは首を振る。
タタはナツメヤシ酒で口を湿らせ、続ける。
「砂漠といっても実際は、大半の場所が岩盤剥き出しで岩がゴロゴロしてる。これを岩石砂漠っていう。
その中で一部、細かいサラサラの砂ばかりの砂漠があって、そこが砂砂漠だ。
砂船は砂の上を滑って進む船だ。岩なんてあっちゃ進めねえから、砂砂漠しか走れねえ。
砂砂漠の中でも、砂船で渡るルートのことを、オレらは特に砂海って呼んでるんだ」
「我々は地理の講釈を受けに来たわけではない」
「そうかい。ま、いいさ。
で、オレの船は普段、こことリーラを往復してる。
風向きの関係で、行きは北側の“ 赤い河 ”を、帰りは南側の“ 月の河 ”と呼ばれる砂海を通る。
だがあんたらの欲しがってるトマバス・コショウの木があると伝えられるのは“赤い河”のさらに北側の、“鉄風の河”と呼ばれる砂海の端っこにある遺跡なんだ」
「できるできないの判断や、方法はそちらに任せる。
こちらはただ、トマバス・コショウの実が手に入ればいい。
それとかかる日数だ。その遺跡とやらに行くのに何日かかる?」
男の物言いに、タタはとうとうため息を吐く。
「遺跡までは片道十日ってとこか。何もアクシデントが無ければだが。
だが、手に入るってのは確約できねえ。
本当にあるのかどうかも定かじゃねえ代物だからな」
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