帰国

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「わかったよ。でも、今日中にこれだけは終わらせたいから約束はできない」 あまり乗り気ではないが、この女の言う通り、最近はどの女とも寝ていないからご無沙汰だった。 少し気分も晴らす感覚で運動もいいかもしれない。 「了解!なるべく終わらなくても食事だけでも付き合ってね!」 食事が終わったら抱かれるつもりのくせに・・・・・ 気分よく部屋から出て行く須田のうしろ姿に、思わず失笑が漏れた。 割り切った気持ちがありありだから、こいつとの関係を終わらせることが考えられなかった。 行きずりの女と関係を持って、もしもの事を考えれば妥当だろう。 あのスケッチブックのお陰で、俺の周りが一新された。 榎田主任の手に渡ったスケッチブックは、あの時に入れ替わってしまった彼女のモノだ。 そうとも知らずに、自分のデザインとして会社に提出してしまい、それが採用されて形になるまでそれに気がつかないでいる俺って、相当バカだろう。 久しぶりにデザインが通って舞い上がっていたのだろうな。 どの作品が通ったのかとの確認も怠っていた。 手直しもなしですんなりと俺の元を離れて行った時点で気がついていたら、世間にさらす前に止められたかもしれない。 型を起こしてもらった時でも、まだ間に合ったはず。 実際に縫製作業に立ち会った時にやっと気がつくなんて、どんだけ仕事を投げやりにしていたのかが露呈されていた。
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