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「亜紗妃!おかえりぃ--------」
「「 かんぱぁ~い 」」
手に持つビールジョッキが3つ重なり、心地よい音を奏でる。
乾杯の音頭を取ったのは、高校からの親友・的場葉子。
ベリーショートの黒髪は高校の時から変わっていない。
「やっと帰って来られたね亜紗妃!」
もう一人の親友・馬場小牧。
こっちは、小さい頃から伸ばしているという、腰の下辺りまで伸びたブロンズの髪が特徴的。
「ありがとう!司馬亜紗妃、無事生還しましたぁ!」
2人に煽られてそんな言葉で場を盛り上げているのは、わたし司馬亜紗妃。
3人とも高校の時からの同級生で、大学と入社した会社は別なモノの、着かず離れずにいい関係を続けている。
ただ、わたしが今の会社に入社した途端に海外勤務を命じられてしまい、この5年二人とも電話で話すか、彼女たちがわたしが住むワシントンに遊びに来るくらいの付き合いしかできていなかった。
「しっかし、長かったねぇ~」
あまりお酒に強くなかった葉子も、この5年の間ですっかりと鍛錬を積んで酒豪の一歩手前まで上り詰めたらしい。
「ほんとよ。辞令が出た時は2年の予定だったんでしょう?」
小牧は名前通り小柄な体格で、お酒の方も嗜む程度しか飲めない。
「すっかりと騙されたわよ。なにが2年で成果が出たら戻れるから、だよ!。ったく・・・」
せっかくの親友との再会の場で愚痴りたくはないが、つい愚痴も口から零れ落ちてしまう。
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