竜と希望と恋心

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 暴風の中で再度空へと黒と銀鱗の竜が舞い上がった。  戦場の外、二人の聖堂騎士が取り残されている。 「アレク、あたしらはどうする?」  聖マリーベル教団から指名手配されている二人だ、今さら自らの意思に背くような行いなど選ぶ必要はない。  彼が望むならアンジェリナはどこまででもついて行く、そう決めてもいる。  じっと死竜を見たまま動かない。あからさまに両国に敵対したらどうなるか、今後起こるであろう事態への結果を思案する。 「中立都市で暮らすのもきっと良いものですよね」  長槍を一振りすると馬の腹を軽く蹴る。青の信仰と決着をつけると。 「んじゃ張り切ってやっちゃおっか!」  アンジェリナも長剣を抜く。それぞれが防御魔法や強化魔法を自身に施す。 「アンジェリナ、私の我が儘に付き合わせて申し訳ありません」  騎馬を加速させながら右手に居る彼女に謝る。 「そう思うなら責任取ってよね!」  色々含みがある単語だがアレックスはにこやかに「はい、そうさせて頂きます」と応じた。  まさかの快諾に剣聖は馬を急がせると「今のあたしは無敵状態だよ! 死にたくなけりゃとっとと逃げな!」大声を上げて青の軍に向かって行くのであった。
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