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ルネーシャ城北側城塞。南北にある居城のうち、北は政治の中枢を司っている。
玉座の隣に、ファティマ国家元帥スカーフェが控えていた。
それだけでなく数人の大臣や、南城から将軍ら武官も数名来ている。
神聖ゼノビア法国からの侵攻だけでなく、南からはフレイム王国が軍を向けてきている。
戦況は極めて不利。国家滅亡の一歩手前と言えた。
「スカーフェ元帥、何故軍の指揮官である我等までここにお呼びになられたのか」
激戦を繰り広げているだけでなく、死竜が現れ混戦に陥った非常に変わりやすい戦況。
現場の責任者を引き離すのは相手を利する行為とすら考えられる。
「重大なお言葉がある。今少し待たれよ」
軍務をみないくせに国家元帥職を履いているスカーフェを彼は嫌っていた。
ファティマ連邦の国家色である薄い茶色の政務服に、金の一つ白百合の記章。
軍事の頂点である国家将軍シドニスは、フレイム王国軍を食い止める為に出征中だ。
そんな大人物が不在なのに、重要事項を布告すること自体が許しがたい。
目に見てわかるような悪態をつく。高官に相応しくない態度にも国家元帥は反応を見せない。
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