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「大体、国家元帥が二人になったという話がおかしい。それもどこの誰かすら解らぬ上に通知のみとは」
どうにも腹に据えかねるようで、ここぞとばかりに不満をぶちまける。
「ロングス将軍、陛下がお認めになられたことだ」
スカーフェ国家元帥も聞かされた時には返答に困ったものだった。
自身の立場もそうだが、世界を見渡しても各国に一人しか存在していない。
そんな至高の官職を並べて良いことなど何一つないというのに。
場が急に静まり返る。隣室から国王がやって来たからだ。皆が畏まり深く礼をする。
「顔を見せよ」
装飾きらびやかな装束を身に付け、王冠を頭に載せた老年男性。
ファティマ連邦の国章である、白百合を大きく刺繍した金糸の外套が素晴らしい。
千年近く続く王家、始まりは小さな国だった。魔王の襲来、統一戦争を経て領土を拡大し、ここローズランド大陸国家の盟主の座についていた。
二ヶ月前に七百年続いていた盟約が突如破られた。
その時より敗戦に次ぐ敗戦を重ね、凋落の一途を辿っている。
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