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「此度の苦戦、聞き及んでおる」
声の調子は変わっていないが、一番落胆しているのは国王だろう。
自分の代で国を傾けるなど、先祖だけでなく全ての国民に申し訳がたたない。
「身共の不徳が致すところで御座います。御心を乱すことになり、面目次第も御座いません」
スカーフェ国家元帥が臣下を代表して残念だと述べる。
騒いでいたロングス将軍も、国王に不満があるわけではない。
皆も言上したいことがあるならば、この場で発言を許可すると自由が与えられた。
「盟友たるフレイム王国が約を違え、神聖ゼノビア法国が戦を仕掛けてきております。戦線はルネーシャ城の目の前にまで迫る有り様」
戦い続けるのが困難だとまでは言わないが、限界が迫っていることを口にする。
国全体が一丸となり、一つことを為したとしても、抵抗する位が関の山。
「戦力があるうちに決戦を!」
ロングス将軍を始めとした武官が同調する。一方で戦う力があるうちに、少しでもましな内容で講話しようと、文官らは決戦に反対した。
古今東西を問わず、このような対立は良くある話なのだ。
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