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「代々王家に伝わる話がある」
左右で言い争いをするのがピタリと止む。一子相伝とでも言うのだろうか、王太子に王から口伝されてきた話。
「かつて統一戦争を勝利に導いた英雄らにまつわる話だ」
ファティマ連盟、ハイランド王国、フレイム王国、神聖ゼノビア法国、そしてグルガン王国。
五か国全てを巻き込んで、大陸の覇権を競った七百年前の大戦争。
それぞれの国に英雄が居た。国を導き、軍を指揮した者達が。
初代法王、エルベール一世。国家元帥を兼務するゼノビアの伝説的存在。
サヤマール国家元帥。グルガン王国最高の魔法戦士。
ノルド国家元帥はハイランド王国の政治を司り、オ=スィオール国家将軍は三カ国連合軍を統括指揮した。
ユリシーズ国家元帥はフレイム王国軍を厳しい軍律で率いた清廉な人物として伝わる。
ファティマ連邦、当時は未だファティマ連盟を称していた。
民衆からの支持が際立っていた国家将軍シドニスが英雄として知られている。
それらの名は現在に至るまで、その地位に在るものが世襲してきていた。
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