竜と希望と恋心

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 四分割の左上、第一クォーターには盾に交差する剣。右上第二クォーターには、ファティマ白百合。  左下第三クォーターには、斜めに刺さるようなギザギザの刺繍。右下第四クォーターには、黒百合。  それらを兼ね備えた人物を知る者は居ない。紋章官に視線が集まるが、彼も冷や汗を垂らすだけで回答に困窮する。  玉座の手前にまで行くと、膝をつくわけでもなく段上の王を見上げた。 「御身の前に」 「無礼な! 陛下の御前にあって礼を欠くとは!」  大臣が許されない態度だと唾を飛ばす。だが黒衣の国家元帥は耳を貸しすらしない。 「戦時だ、不拝不礼は武官に許された権利、行使して何が無礼だ!」  先ほどから言い争いをしていたロングス将軍が、文句をつけた大臣に正論を吐いた。  スカーフェ国家元帥にたしなめられ、国王の言葉を待つ。 「余はこの者に国の行く末を委ねる。皆、心して従え」  その宣言を受けて、段上に在ったスカーフェ国家元帥が階段を下る。  代わりに黒衣の国家元帥がゆっくりと登った。そんな馬鹿なことがあるかと皆が疑いの目で見る。
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