竜と希望と恋心

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「我が名はマッケンジー。ファティマ連盟国家元帥・トライ伯爵」  低い声で彼は言ったファティマ連邦ではなく、ファティマ連盟と。  遠い昔に名を変えたはずなのに。そしてもう一つ、壊滅した都市であるトライ伯爵とも。 「陛下、お戯れが過ぎます。今は大事な時であればこのような悪ふざけはお止めくださいませ」  誰しもが不快だった。国王は気が触れたかとすら思ってしまった。 「代々伝わってきた話はこれだ。盟約破られし時、国家元帥が帰還するだろう。その者、国家の英雄であり、人類の希望である」  目が曇っているわけではない、操られている形跡もない。  国王が真実そう信じ、認めている。皆がもう一度段上の国家元帥を見た。  それを聞いて紋章官が答えに気付いた。 「あの紋章はトライ伯爵家のもので御座います」  第三クォーターのギザギザが、稲妻を表していることをようやく思い出す。  そうだとしても事態を飲み込めなどしない。五年、十年前の話ではないのだ。 「証をたてて見せよう」  マッケンジー国家元帥はたったそれだけ言葉を残し、段上から下ると外へ出ていってしまった。
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