死せる伝説と生ける伝説

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◇  戦場は大混乱をきたしていた。歩兵がせめぎ合い、魔獣が跋扈する。騎兵が入り乱れて死竜とエンジェルが空を飛び回っていた。  収拾がつかないが無理に統率を回復させるよりは、そのままの方が戦いやすいと双方が考えた結果でもある。  小集団を形成し、数十人の単位で戦いを行っている。 「団長代行、これは消耗戦です!」  黒い三角の軍旗を翻して紫の乗馬戦闘法官と力比べをしている。  契約傭兵である黒色槍騎兵団は、大昔から妙な呼称を継続して使っていた。  兵団の指導者が団長代行なのだ。何故代行かは最早忘れ去られて久しい。 「この強風のおかげで一方的にやられずに済むが、流石紫の信仰と言ったところか」  相手を褒めている場合ではない。何とかして被害を減らさねばならない。  かといって戦場から逃亡でもしたら最低の評価が与えられ、そもそも兵団の存続が危ぶまれてしまう。  このまま戦っていても数を減じてしまい、やはり同じ末路を辿ることになるが。  何故か死竜が黒色槍騎兵団の騎兵を次々と襲うので、その対応にも困っていた。
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