118人が本棚に入れています
本棚に追加
/170ページ
◇
戦場は大混乱をきたしていた。歩兵がせめぎ合い、魔獣が跋扈する。騎兵が入り乱れて死竜とエンジェルが空を飛び回っていた。
収拾がつかないが無理に統率を回復させるよりは、そのままの方が戦いやすいと双方が考えた結果でもある。
小集団を形成し、数十人の単位で戦いを行っている。
「団長代行、これは消耗戦です!」
黒い三角の軍旗を翻して紫の乗馬戦闘法官と力比べをしている。
契約傭兵である黒色槍騎兵団は、大昔から妙な呼称を継続して使っていた。
兵団の指導者が団長代行なのだ。何故代行かは最早忘れ去られて久しい。
「この強風のおかげで一方的にやられずに済むが、流石紫の信仰と言ったところか」
相手を褒めている場合ではない。何とかして被害を減らさねばならない。
かといって戦場から逃亡でもしたら最低の評価が与えられ、そもそも兵団の存続が危ぶまれてしまう。
このまま戦っていても数を減じてしまい、やはり同じ末路を辿ることになるが。
何故か死竜が黒色槍騎兵団の騎兵を次々と襲うので、その対応にも困っていた。
最初のコメントを投稿しよう!