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ゼノビアの法官が死竜を攻撃しているのと、魔獣がゼノビアもファティマも関係なく襲っているので崩壊せずに済んでいる。
「何が起きているんだ……」
紫の信仰は黒色槍騎兵団のみを標的にしている。途中から参戦している白地に青の聖堂騎士二人はゼノビア法官だけを相手にしていた。
聖マリーベル教の援軍というわけではないが、やけに腕が立つ二人組で目立っている。
そして魔獣はその二人を襲うことが無い。当然ファティマ軍も仕掛けはしなかった。
こんな複雑怪奇な戦場は初めてだ。団長代行のバイアスは最善の道が見つからずに歯ぎしりする。
風だけでなく黒い雲が上空に出てきた。雷が鳴る、雨は降りそうで降ってこない。
「ファティマの歩兵が後退を始めました!」
指摘を受けて後ろを確認する。押し切れずについに撤退に切り替わったようで、後備から少しずつ下がっていくのが見えた。
このまま戦場に取り残されてしまうと包囲殲滅を受けてしまう。このあたりが限界だ、バイアスも集合と撤退の時機をうかがい始める。
まとわりつく魔獣を騎兵槍で突いてあしらう。
「くそっ、俺は何をしているんだ!」
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