死せる伝説と生ける伝説

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◇  ルネーシャ城の大門から黒い騎兵がただ一騎のみ出て来る。所属を表す軍旗も何もない、伝令のようにも見えない。  城壁の上からその姿を見つけ、逃亡者かと疑いもしたが戦場へ向かっているのでそのままにした。  途中退いてくる歩兵集団とすれ違う。不思議な視線を送る彼等だが、何も言われないので黒騎兵の姿を見詰めるだけ。  黒の外套を翻し馬を速足にする、右手に騎兵槍を構えて殿で戦う歩兵の左側をかすめると、ゼノビア歩兵に単身で突撃を敢行した。 「右方、黒衣の騎兵単騎、攻撃来ます!」  十人程の槍歩兵が部隊を少し離れてその一騎に備える。 「炎の球よ、彼の敵を撃て、ファイアボール・ブレイク!」  空中に人の頭位の炎の球が現れるとゼノビア歩兵に向かい落下する。直前で細かく分裂し、槍歩兵の連携を乱した。  真正面から黒騎兵が突入するといともあっさりと部隊を突き抜けた。  本隊を目の前にして黒騎兵は別の魔法を詠唱する。 「天より舞し煌めき、求めるは鋭き刃、麗美な輝きを備えし刺棘、フォール・オヴ・アイス・エクスプロージョン=インパルス!」
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