死せる伝説と生ける伝説

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 中心よりやや後ろ、ゼノビア軍のみを対象にして氷の欠片が舞う。  強風に乗り更に範囲が広がり、それが爆発した。魔法そのものに質量を追加したエキスパンションを盛り込んだ一撃。  統率が乱れたところを単騎で駆け抜ける。そのまま中央の激戦区、死竜が舞う騎兵同士の戦場へと向かう。 「インスタント・イクイップメント」  黒騎兵が魔法で武装の変更を行う。装いはほぼ変わらずだが、礼装のたすきが左右両方に掛けられた。  乱戦の最中、騎馬の足を止める。左手に現れた長く大きな軍旗を地面に突き立てる。 「我が兵は居るか!」  その瞬間だけ強風が止んで、やけに遠くにまで声が届いた。  多くの注目を集める。そこには黒の三角軍旗が立てられており、見たことがない騎兵が居た。  死竜が目を見開いて上空からダイヴする、だが半円を描いたような輝く壁にぶつかり弾き飛ばされてしまう。 「何だと!」  皆が目を疑った、あの死竜を防いだことに。周辺の黒色槍騎兵が兵団の軍旗を守るために集まって来る。
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