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攻撃をかわして団長代行バイアスが軍旗の傍へとやって来た。
だがどうにも見覚えが無い奴で首を傾げる。
「お前は?」
ここ数年内に入団した者ならば全て見知っている。新入りだとしても面通しをしているので体格で覚えていたりするが、どうにも記憶が無い。
「マッケンジーだ。お前は我が兵か」
団員にお前呼ばわりされる覚えは無かった。
黒兜を叱責してやろうと馬を寄せる、掛けられたたすきが目に入る。
「Ⅳ番騎兵?」
はっとして脇にある軍旗を確かめる。よくよくその軍旗を見ると「Ⅳ」が刺繍されていた。
死竜がいきり立ちもう一度巨体を唸らせ攻撃してくる。だがまた輝くドームにぶつかると、体勢を崩し地上に衝突した。
「いかにも我がⅣ番騎兵、黒色槍騎兵団団長のマッケンジーだ。今一度訊ねる、お前は我が兵か」
バイアスは何か恐ろしい悪夢でも見ているかと自身を疑った。
七百年前から存在している黒色槍騎兵団は、代々団長代行がナンバーを引き継いできている。
今の彼はXLVII、即ち四十七番だ。紋章に見覚えは無いがファティマ連邦の白百合が入っているので味方は味方なのだろう。
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