死せる伝説と生ける伝説

7/14

118人が本棚に入れています
本棚に追加
/170ページ
「俺はバイアス、黒色槍騎兵団団長代行のバイアスだ」  辛うじてそれだけは告げることが出来た。  死竜が牙を剥きだしにして、前足の大きな鉤爪を振るう。やはりドームの輝きに弾かれてしまう。 「そうか。バイアス、兵団を集めよ、我が指揮を執る」  そう言うと騎兵槍を手に死竜へと馬を寄せる。  多くの注目を受けて騎馬を速足に切り替えた。 「性懲りもなくまた貴様か。何度記憶を汚せば済むのだ!」  前足を拡げ唸りを上げる死竜へ一直線、騎兵突撃を行う。  槍が届く前に鉤爪が襲い掛かる、だがやはり輝く障壁に弾かれる。  直後死竜へ槍が到達する、眩い光が発生し銀の鱗が盛大に剥がれ落ちた。  信じられないことが起きている、人が守護竜を相手にして一騎で戦っている。 「な、なんだこの力は!」  ヘンリエッタが目の前の黒騎兵を睨む。  ゼノビアの戦闘法官も手を止めて対峙している場に見入る。  我を取り戻したバイアスが騎兵団に緊急集合を掛けた。普通ではない何かが起きている、どうであれ団を指揮できる状態に戻すのを最優先する。
/170ページ

最初のコメントを投稿しよう!

118人が本棚に入れています
本棚に追加