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「俺はバイアス、黒色槍騎兵団団長代行のバイアスだ」
辛うじてそれだけは告げることが出来た。
死竜が牙を剥きだしにして、前足の大きな鉤爪を振るう。やはりドームの輝きに弾かれてしまう。
「そうか。バイアス、兵団を集めよ、我が指揮を執る」
そう言うと騎兵槍を手に死竜へと馬を寄せる。
多くの注目を受けて騎馬を速足に切り替えた。
「性懲りもなくまた貴様か。何度記憶を汚せば済むのだ!」
前足を拡げ唸りを上げる死竜へ一直線、騎兵突撃を行う。
槍が届く前に鉤爪が襲い掛かる、だがやはり輝く障壁に弾かれる。
直後死竜へ槍が到達する、眩い光が発生し銀の鱗が盛大に剥がれ落ちた。
信じられないことが起きている、人が守護竜を相手にして一騎で戦っている。
「な、なんだこの力は!」
ヘンリエッタが目の前の黒騎兵を睨む。
ゼノビアの戦闘法官も手を止めて対峙している場に見入る。
我を取り戻したバイアスが騎兵団に緊急集合を掛けた。普通ではない何かが起きている、どうであれ団を指揮できる状態に戻すのを最優先する。
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