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「我が主!」
デュラハンが騎馬を走らせ割って入る。
ヘンリエッタを庇うように魔獣も周囲を囲んだ。
戦場が静まりかえる、異変が来ていることに気づき聖堂騎士の二人も駆けつけてきた。
「我はエンシェントドラゴンが配下、デュラハンなり!」
グレートソードを抜いて右手に持ち黒騎兵に切っ先を向ける。
強風が止む。激しく揺れていたたすきが落ち付いた。
激震が走る、手にしているグレートソードが震える。
「そ、それは!」
何に驚いているのか、ヘンリエッタも目を細めた。
紋章のたすき、そこに出自不明だった絵柄が刺繍されている。それも第一クォーターにだ。
「異国の旅人、でも白百合の紋章も……」
アンジェリナがファティマ連邦国内では見かけたことが無いのにおかしいと呟く。
まるで時間が止まったかのようだった。
戦場で喚声も武器を打ち合わせる音も聞こえてこない。
「その紋章覚えがある。それは貴様が勝手に使って良いようなものではないぞ!」
黒い瘴気を漂わせてデュラハンが馬を寄せる。
精神を固定されている死霊の心をこれほど揺さぶる何か、興味を抱いた者が多い。
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