死せる伝説と生ける伝説

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 強風は止んでいつのまにか自然の微風、空も怪しげな暗い雲は無くなり太陽が輝いている。  そこに黒の月が浮かび周辺を黒の光で照らす。魔族の力を倍増させるそれをゼノビア法官が解除する気配もない。  デュラハンがグレートソードを意外な素早さで外側から振り抜く。ファーヴニルを打ち合わせた、軌道を逸らされたが強引に上から下へと叩き付ける。  黒騎兵が少し身を逸らすとグレートソードが大地を割る。膂力に輪を作っていた者達がどよめく。 「その太刀筋……そうか」  何かを感じたらしいがそれ以上は何も言わずにファーヴニルを構える。 「一気に決める! 魔陣起動、デスマカヴル!」  左手に持っていた兜首を頭上へと放る。  一定空間内の時間の流れが遅くなる。デュラハンは片手で持っていたグレートソードを両手持ちにして、大きく横薙ぎにした。  ガン!  その切っ先をファーヴニルで叩かれ空を切る。 「な、何故まともに動ける!」 「時の加速、寿命定まらぬ者には効かぬよ」  ゆっくりと宙を舞っている兜首の中で目が赤く光っている。輪を作っている者達には一瞬の出来事にしか感じられていない。
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