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一歩、二歩下がると姿勢を正しグレートソードの切っ先を空へ向ける。
「エンシェントドラゴンが配下、デュラハン・騎士ヒンメル、改めて勝負を申し込ませて頂く!」
黒騎兵も三歩退きファーヴニルの切っ先を同じように天に向ける。
「ファティマ連盟国家元帥であるマッケンジートライ伯がその勝負受けて立つ!」
多くの者が一様に驚く。そんなはずは無い、馬鹿げた名乗りだ。
ヘンリエッタが身を乗り出し二人を見詰める、聖堂騎士らも同じ心境だろう。
デュラハンが黒い瘴気を発して動く。グレートソードを胸に引き寄せ身を巻くように斜めに一回転し、威力を増し体重を乗せた一撃。
敵の胸を借りるつもりで放った剣だ。
ファーヴニルを頭上にかざし避けずに受け止める。両足が地面に食い込み衝撃波が小石を飛ばす。
バキン!
デュラハンの持つ剣が折れて地に刺さった。
武器の差ではない、腕前の差でもない、デュラハンに相手を殺そうとする意志があったか無かったかの問題だ。
主への忠誠を満たしつつ、義理を果たすために敗北を選んだ。己の不名誉を甘受して。
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