死せる伝説と生ける伝説

13/14
前へ
/170ページ
次へ
 ヘンリエッタにはそれが解った、理由までは言葉に出来ないが。 「お前の騎士は膝をついた、どうするクリプトドラゴン」  ドラゴンスレイヤーであるファーヴニルを持つ右手を伸ばして問う。  戦いを見ていた者達が戦慄を覚える、あのエンシェントドラゴンを圧倒する人間が居ることに。  そしてそれがファティマの国家元帥を名乗った事実に。  白地に青の服装、聖堂騎士長である男が間に入る。 「初めまして、私は聖堂騎士長アレックス・ヘロヴェルタと申します。マッケンジー殿にお伺いしたいことが御座います。このような場ではありますが一つだけよろしいでしょうか?」  場違いも甚だしい、だがファーヴニルを下げると応じた。 「構わぬ」 「有難うございます。貴殿はトバリ殿の主でしょうか?」  トバリが何者か、それを知る者は片手で数えられる程しか居ない。  まさかの名前が出てきて興味を持つと、聖堂騎士長に歩み寄る。 「いかにも、我が盟主だ」  探し求めていた全てが目の前に在る、最悪の形で。 「私達は貴殿の協力を得たいと考えます」
/170ページ

最初のコメントを投稿しよう!

118人が本棚に入れています
本棚に追加