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刃を交え、国同士で争う。それなのに協力を得たい、図々しいにも程がある。
「代償は」
「はぐれ者の槍聖の献身ではいかがでしょうか」
アレックスは真面目にそう申し出ている、瞳が語っていた。
「今なら剣聖もセットで付いてくるわよ!」
後ろからアンジェリナがやって来て彼の隣に立つ。
「……何を求める」
本気を感じた、突拍子もない話に向き合う姿勢を見せる。
「目覚めぬ魔王と竜の恋を叶える為にお力を貸して頂きたく思います」
「はっはっはっはっ、面白い、実に面白いぞ!」
冗談にしても度が過ぎる、だが痛快な笑いの後に「良かろう」と承知してしまう。
目の前で勝手に変な方向に話が進んでしまい、ヘンリエッタもどうしたものか困惑する。
「そこなクリプトドラゴン、我が無聊を慰める為に付き合うことを許す」
抗議をしようとするがアレックスが優しく微笑んでいるので唸るだけで終わる。
「だがまずはルネーシャにたかる虫を叩き潰してからだ」
その日、ゼノビア遠征軍が這う這うの体でファティマ領から壊走していった。
伝説が始まるかと思われた夜、忽然と国家元帥は姿を消す。竜と騎士らと共に。
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