君と私の道中劇

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 本当の理由だろうか、雰囲気からそのように言葉を足す。  それにしたって五百年を生きたエンシェントドラゴンをエッタ呼ばわりとは。 「そう、ですの……」  気分が晴れない。元はと言えば誰がこんなことにさせたのか、そんな気持ちも無いわけではなかった。 「ちょっとヒンメル君、ご主人様がご傷心よ、元気付けてあげなさいよ」 「俺はデュラハンだ、威厳などもあるのを考えて貰いたいのだが」  そんなフランクに接されても対応に困る。それはそうだろうが、空気読めない子として名高い彼女は常にマイペースだ。 「なに照れてんのよ、デュラハンだからって関係無いじゃない。ね、アンジー」  今度は別のところに飛び火した。どうにも誰かを呼ぶときには愛称にしたいようだ。 「ははははは、どーなのかなそれは」  見た目や立場で言動が変わるのが普通すぎて感覚がわからない。 「何か逃げたような答えだなぁ。アルはどう思うのよ」 「騎士が主人を気遣うのに、何の問題がありましょう。デュラハン殿、私達のことはどうぞお気になさらずに」  にこやかにそう応じた。有り難迷惑などと本人はこれっぽっちも思っていない。
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