君と私の道中劇

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 昔の話ではあっても道というのは拓かれて太くはなってもなくなるようなものではない。  あっち、と相変わらず大雑把な指示をして馬を行かせる。  強大な力を持ってはいても、それを無制限に行使するつもりは一切ないらしい。  それについてはヘンリエッタだけでなく、この場の皆がそうだった。 「ここでフラちゃんの何でだろうクイズの時間です!」  突然何を言い出すのか解ったものではない人物が居ると無用な疲れを感じることになる。  アレックスだけがパチパチと拍手で迎えてくれた。 「シドニス国家将軍が民衆の支持を得て久しい。初代のシドニスはどうしてそこまで民に優しかったのでしょうか。正解者には何かいいことあるかもね!」  なおヒンメル君は回答権ありません、と参加者の限定を行う。  馬に乗っているだけなので別に話をするのは構わないが、どうにも調子が狂う。 「じゃあ一番手、エッタ!」 「そうですわね、厳しくするより見返りが望めたからですの?」  打算でそうした、これが正解だと非常に悲しいものがある。
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