君と私の道中劇

9/30
前へ
/170ページ
次へ
「残念ちがーう。んじゃアンジー!」  ビシッと指さして二人目の回答を求める。顎に手を置いて少し考える。 「本人は別にそうしているつもりは無かったけど、そういう風に受け止められた?」  感覚の差異というか、生まれ育ちのズレみたいなものだと考えたようだ。 「しっかりと意思を持っていたのでブッブー。最後はアル!」  こういう会話に限らず、交流するようなことが好きなようでアレックスはご機嫌で回答した。 「そうですね、では民衆に優しくするのが誰かの為と考えて意図してそうした、というのはどうでしょうか」  誰かの為に別の誰かに優しくする。しかしシドニスは将軍であり、命を奪い合う軍人だった。  優しすぎる軍人は長生きしない、ヒントは青年と呼ばれる年代の頃に死去した記録があったことだけ。 「シドはラティーナ姫が民に慕われて欲しいと願ってそうした。ゼノビアのエルベールのところへ政略結婚で嫁ぐことになった時、それは実ったわ」 「ラティーナ女王がゼノビアにですか?」  そんな記録は史書に残っていなかった。クイズの答えよりも興味がそそられる。
/170ページ

最初のコメントを投稿しよう!

118人が本棚に入れています
本棚に追加