君と私の道中劇

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「エルベール法王は戦いに勝っても得る物は少ない、算盤を弾くのが上手い人物だった。計算の内だったのでは?」  面子を守るために大赤字では困る。何せ新興国家だ、大切な部分の比重が他所とは違う。 「どうかしらね。で、見事正解したアルに景品をあげちゃうわ」  はいはい両手を出してと急かすと「インスタント・イクイップメント」装備を呼び出して、現れた槍を手渡す。  黒い槍、騎兵槍よりは多少短い。穂先も黒い金属で出来ているようで不思議な輝きを発していた。 「これは?」  手に馴染むようでアレックスは槍をじっくりと見ては感触を確かめる。 「ヴィボルグ、魔装具の一つよ。あたしの大切な人が使っていた武器、きっとアルなら使いこなせるわ」 「伝説の魔槍ヴィボルグですか!」  神々が戦いをする時に使ったと言われている神話に出てくるような代物だ。 「それであなたの大切な人を守ってあげなさい。あたしが持っていても使いこなせないの」  遠い過去に共に在った仲間。Ⅰ番騎兵、初代黒色槍騎兵団の団長アズライール、戦いというものをフラに教えてくれた人物。
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