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心が刺激されたフラは伝説の武器を大盤振る舞いした。
思い出したくても思いだせない程に古い記憶を鮮明にさせてくれたお礼だ。
二人がフラの前で片膝をつく。
「アレックス・ヘロヴェルタはこの槍を大切な人の為に振るうと誓います」
「アンジェリナ・オニールはこの剣を大切な人の為に振るうと誓います」
互いのために、それでいて互い以外のために。
「誓いを受け取るわ。あなた達をずっと見ている、ずっとずっと。あたしもそう誓うわ」
デュラハンがその光景を見て何かと重ね合わせてしまう。
長くを過ごすというのはそういうことだ。記憶を崇拝する、その立場に居る者にしか理解できない尊さ。
重い雰囲気、それを簡単に崩してしまうのもまたフラだった。
「ヒンメル君も何か欲しい?」
ほーら言ってごらん。などとおどけてみる。
「俺は何も求めない。ただ今のままが心地好い」
強がっているわけでは無い、欲しいものなど本当に無いのだ。
もしあるとしたら安らぎや永遠の終わりだろうか。
「そう。じゃあ早いとこフレスゲン行きましょ!」
ようやく目的地を明かす。フレイム王国首都フレスゲン。何をしに行くつもりなのか、一行は山道を進んだ。
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