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盛り上がる胸筋、蓄えられた立派な髭、頑固そうな瞳、伸びた背筋。
軍人として生きてきたであろう見本の男。四十歳前後だろうか、しかし気迫は物凄い。
二人の聖堂騎士は右手を胸にあて会釈した。ヘンリエッタは両手を腹の下あたりで合わせ深くお辞儀をする。
「ハローお髭さん」
フラは軽く右手を振ってあまりにザクッとした挨拶をした。
それが許される年齢に見えているのが最大の特徴だ。本人が良いと思っているかは別として。
「ふむ……その槍は」
来訪の内容などよりも、武人として早速気になってしまったらしい。
アレックスが失礼がないように、穂先に被せていた布を解く。
「ヴィボルグです。初めてお目にかかります、火竜将軍。私は聖マリーベル聖堂騎士長ヘロヴェルタと申します」
「ヴィボルグ! なんと槍聖か! すると」
ルーニー将軍の視線がアンジェリナに流れた。彼女も自己紹介をする。
「同じく聖堂騎士オニールです」
剣聖と槍聖を連れている人物、噂では二人はグルガンの死竜と共に居るはずだ。
「初めまして、ワタクシはハーファ傭兵団長のエッタ・フレイムですわ」
「エッタ・フレイム殿?」
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